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イメージの亡霊

By山本郁也

2018.05.07, 12:42 PM

六本木 雨 夜

 

「六本木レイン(研ナオコ、1985年)」、「雨の西麻布(とんねるず、1985年)」、「六本木純情派(荻野目洋子、1986年)」、「六本木心中(アン・ルイス、1991年)」、「六本木ララバイ(内藤やす子、1995年)」。80年代から90年代、つまりバブルの時代、六本木にはいつも歌があった。

 

その時代、六本木には若者が溢れかえっていた。スクエアビルを中心としてディスコの文化が隆盛し、若者たちは集まり、連日踊り明かしていた。そのせいか、六本木には「夜」や「雨」や「愛」といったイメージがつきまとい、それをテーマにした歌も多く発表された。

 

しかし、これはバブル期に限ったことではない。「六本木 ~GIROPPON~(鼠先輩、2008年)」、「口説きながら麻布十番 duet with みの もんた(SDN48、2011年)」、「雨の六本木(DEEN、2013年)」。2000年代に入ってからも、六本木や麻布をテーマにした歌は多数発表されている。しかも、いまだに「夜」や「雨」や「愛」といったことがテーマになっている。

 

バブルはすでに崩壊した。スクエアビルもない。しかし歌はいまもテーマが変わらないまま歌われている。時代が変化してコンテンツが失われたにもかかわらず、六本木にはバブルの時代の痕跡が、亡霊のように残っている。

 

“「夜の街六本木」から「デザイン&アートの街六本木」へ。”

六本木未来会議 – ABOUT

 

六本木は、アートの町として生まれ変わろうとしているらしい。確かに、六本木アートナイトもあれば、リライトプロジェクトも復活した。しかし、アートナイトはその名の通り自ら夜だと認めているし、リライトプロジェクトの光も夜でないと輝かない。やはり結局のところ「夜」なのである。

 

六本木がこれから10年20年かけてどうなっていくかはわからない。しかし、六本木の歌を聴いていると、いまのところ、六本木がバブルの頃から何一つ変わっていないことがわかる。六本木が変わりたいのであれば、このイメージの亡霊をどうにかしなければいけない。

できれば、いままでの六本木にはなかった歌が聴こえることを期待したい。たとえば、「大宮サンセット(スピッツ、2001年)」、「代官山リフレイン(ゆず、2011年)」のような。

 

念のため付け加えておくと、ぼくはもちろん六本木の歌の専門家ではない。もしかしたらすでに、違うイメージの歌があるのかもしれない。ただ、残念ながらぼくはそれを知らない。それは一重にぼくの無知が原因である。批判されるかもしれない。そのような批判があれば、甘んじて受け入れる所存である。

 

しかしこれは研究論文ではない。単なるエッセイである。けしてエッセイを馬鹿にしているわけではないが、できれば、エッセイの名の下に許していただきたいとも思う。

山本郁也

山本郁也事務所 代表 / インフォメーションアーキテクト。特定非営利活動法人 人間中心設計推進機構 評議委員。情報サービスにおける商品企画から事業戦略・組織デザインまで、様々なプロジェクトの計画や実行を手掛ける。受賞歴にグッドデザイン賞、キッズデザイン賞、HCDベストプラクティスアワードなど。

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