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ヒロ杉山×川上鉄太郎、六本木とアートを語る。

By重信綾

写真 byMidori Kondo

2018.06.27, 3:49 PM

六本木という街の魅力を考え、ウォッチするバーティカルメディア「-YORAKU-夜楽-」。その運営をつとめる「Chicabi」の川上鉄太郎氏と、イメージビジュアルを作成した「Enlightenment」のヒロ杉山氏による対談を敢行。六本木にまつわるエピソードにはじまり、街が持つ個性のこと、果てはアートの未来まで。お互いの思いを語り合います。

 

Enlightenment ヒロ杉山 Chicabi 川上鉄太郎

左:Chicabi 川上鉄太郎氏 右:Enlightenment ヒロ杉山氏

 

川上鉄太郎(以下、川上):六本木にある『SIX TOKYO』というクラブの方から「六本木をもっと盛り上げたい」という話をいただいて、ひとつの案として出てきたのがメディアの立ち上げでした。それが今の「-YORAKU-夜楽-」なんですけど、クラブシーン、音楽、アートをテーマとして扱いたいと思ったときにパッと思い浮かんだのが、杉山さんでした。

 

ヒロ杉山(以下、杉山):一枚のカッコいいビジュアルを作ればいいと思っていたのですが、メジャー感のある撮影をしたいと思いモデルさんを使いました。結果的に、音楽とファッションとカルチャーを象徴できるビジュアルになり、よかったと思っています。川上くんはクラブをちょっと違う視点から見ている人で、それがすごく面白いと思いました。

 

川上:もともと、ちょっと斜めなところがあるんです(笑)。クラブが好きで自分でもイベントをしていたこともあるんですけど、クラブがつぶれるニュースを聞くたびに、これまでとは違う収入源が何か必要なのではないかと考えた結果、メディアを思いついたんです。誰かが単体で頑張るのではなく、いろんな協力体制があるなかで、クラブビジネスを潤うものにしていきたいと思いました。

 

杉山:実は、若い頃はあまり六本木にきたことがなかったんです。怖いイメージがあるし、お酒を飲む場所としてはいいけど、僕は飲まないから。携わるようになったのは六本木ヒルズができてから。森ビルさんに「六本木ヒルズを象徴するビジュアルを作ってほしい」と言われたんです。

 

川上:そうだったんですね!

 

杉山:外資系のオフィスビルになるということを聞き、人のエネルギーということをテーマにして、カメラで模型を撮影させてもらったものをもとにして作ったんです。エネルギーを色で表現したので、すごくカラフルなんですけど。今は展望台のチケットにそのビジュアルが使われているんですよ。

 

川上:まさに今回、同じことを考えていました。六本木はどこよりもエネルギー量が高い街だと思っています。ときにそれがマイナスに働くこともあるけど、絶対値で言ったらとても高い。

 

Chicabi 川上鉄太郎

 

杉山:たしかにそうだね。

 

川上:ヒルズ族のような人もいれば、学生もいる。遊んでいる人もいればギークな人もいて、社会の縮図じゃないですけど、そこにいる人は多様性に満ちています。銀座や渋谷のように記号がつけられていないし、いろいろな人を受け入れる懐の深さがあるというか…。それがエネルギーの原泉なのかなと。

 

杉山:六本木ヒルズ以前、以後では、街の雰囲気は180度変わったと思いますよ。18時くらいから賑やかになる場所というイメージだったし、あんなにファミリーで行くところではなかった。ミッドタウンができてからは、さらにショッピングの街になったしね。これまでのダークなイメージを、森ビルさんが一掃しつつあるのかもしれない。

 

川上:それは、杉山さんとしてはどう思いますか?

 

杉山:自分が夜に出歩かない人なので、きれいなのはきれいでいいけど(笑)。ただ、僕はニューヨークが好きで、20代のとき、つまり1980年代にはよく行ってたのね。でも、その頃って怖いんですよ。スターバックスもなかったし。でも、危険だったり、緊張感のある雰囲気がなくなってしまうのは寂しいというか、つまらなくなるかもしれないとは思うよね。ちょっと怪しかったり、危険なところから生まれる文化って面白いんですよ。クラブカルチャーもそうですよね。どこにいっても同じ商業施設、同じ飲食店があって…と均一化されちゃうのは、街それぞれが持つ個性が薄れて消えていく感じがして、もったいない。

 

川上:細い路地や横道って、その場所のオリジナリティがあって楽しいのに、画一的な開発ではそういうのをガーンと全部、潰しちゃうじゃないですか。

 

杉山:でも、日本は今、そうしようとしてるから。でも、それは世界的にも同じことがいえるのかもしれないですよね。表参道とパリのサンジェルマンも同じようなものというか…。

 

川上:同じハイブランのショップが並んでいますからね。インターネットは、場所を無にするじゃないですか。その世界での均一化はいいことだと思うんですけど、場所が均一化されるのはつまらないです。ちなみに、東京における六本木は、どんなポジションだと思いますか?

 

Enlightenment ヒロ杉山 Chicabi 川上鉄太郎

 

杉山:まだまだ、大人の街という役割があると思います。渋谷、原宿は子ども化したのに比べて、六本木や麻布十番にはいいお店がありますから。でもクラブに関していうと、そもそも、僕が行ってた頃には子どもはいなかったんですよ。やっぱり、もうちょっと大人で、業界人的な人がきて話したりしていて、そこから仕事が発生することもあった。もうちょっとカルチャーがあったし、いい音楽を聴きながら、いいお酒を飲む場所でしたね。

 

川上:サロン的な感じですね。

 

杉山:あと、そういう大人に憧れている人たちもいました。ファッションデザイナーやスタイリストのような、芸能人じゃないけれど業界では有名な人に会える場所だったんです。でも、最近はクラブがライブハウス化してきてるよね。ストレス発散じゃないけど、縦ノリで踊り狂ったり、ダイブをするみたいな雰囲気がある。

 

川上:ウルトラ(ジャパン)みたいなノリに固まってきているのかもしれないです。

 

杉山:すると大人は来づらくなるんだよね。そんなときに青山に「ル・バロン」ができた。内装が大人っぽかったし、子どもは入りづらくて、業界人も集まってきていた。もう閉まってしまったけどね。クラブは、そういうふうに変化していったんじゃないでしょうか。しかも、最近は若い人がお酒を飲まなくなってきてるんでしょ? 飲む人もお金があまりなかったりして、クラブに行く前にコンビニとかで強いお酒を買って飲んで、クラブでは飲まないとか。女の子にお酒をおごるのがカッコいいという文化もないし。クラブはお酒が出ないと経営がやっていけないからね。

 

川上:あと、クラバーの卒業が早まっている気がします。結婚年齢とかは高くなっているから遊び時間は増えているはずなのに。もちろん、バブル期に比べたら使えるお金は減っているかもしれないけど…。

 

杉山:とはいえ、クラブに行けないくらいまでじゃないだろうし、海外とかではもっと集客しているもんね。一晩で1000万円稼いだり、年収20何億円というDJがいるわけだから。日本では意味がわからないよね(笑)。野外フェスに行く人口が増えたこととかも関係しているのかな。

 

川上:でも、「ル・バロン」みたいな場所、ほしいですけどね。「あそこに行けば、誰かに会える」っていう場所。

 

杉山:作ればいいんじゃない?(笑)

 

川上:本当に、そうですね。今のクラブのイメージって、ナンパしに行く場所とか、それこそフェス的なものに集約されていると思うので、「-YORAKU-夜楽-」では、そこから離れて、あらためて六本木という場所の力や、夜の楽しみ方、クラブ初心者向けの発信をしていきたいなと思います。

 

杉山:あとは、自分自身がアーティストでもあるので、アートがもっと根づいて、世界に発信できる街になるといいですよね。東京において、「アートといえば六本木」と言われるような。クラブシーンもそうですけど、カルチャーを発信できる場所であってほしい。森ビルもだけどアートに力を入れていて、美術館やギャラリーがたくさん集まってきている。ただ、アート系の人は来ているけど、まだまだですよね。

 

Enlightenment ヒロ杉山

 

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