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おじいちゃんはどこに行く

By高木めぐみ

2018.04.17, 11:26 AM

私には、ずっと気になっていたことがある。

 

東京の街中で見かけるおじいちゃんおばあちゃんは、

どこに行くのだろう、ということである。

 

例えば、渋谷の道玄坂を歩いていったおしゃれなセットアップの老夫婦。

例えば、銀座のネオン街に一人で消えていったおじいちゃん。

 

おじいちゃんおばあちゃんは、流行のおしゃれなお店とは違う、

私の知らない街の味わいを教えてくれる気がする。

どこにお出かけするのだろう。長年通ったお気に入りの場所なのだろうか。

それぞれの目的地がとっても気になる。

 

今も昔も、華やかな遊びのイメージが強い街、六本木。

日比谷線が六本木に初めて開通した後の1970年頃から

ディスコやゴーゴー喫茶でにぎわっていた若者の街だったそう。

今回はその六本木にて、駅の改札からでてくる

気になったおじいちゃんおばあちゃんのうしろをつけさせてもらい

どこに行くのかを調べてみた。

 

 

13時、1人目。

淡いスーツのおしゃれなおじいちゃん。

3番出口から六本木交差点に出ようとする人々とは逆の、4a出口にまっすぐ向かう。

そのまま六本木交差点を出て、迷う様子なく目的地に向かっている。

もしかして、普段から通ってる場所なのかな?

着いた先は、

 

 

 

居酒屋?こんな昼間から??

と、ふと隣の建物を見たら、おめかししたおじいちゃんおばあちゃんがたちがたくさん。

この居酒屋「土風炉」のとなりにあったのは「俳優座劇場」。

 

 

 

昭和19年に発足した「劇団俳優座」という劇団によって

昭和29年にこの場所に建てられたそう。

この日の公演は、「田中いづみと今旬の舞姫達のダンス」。

若手の舞踏家さんたちも出るということで、きっと出演者の母や祖父も観に来ていることだろう。

 

そしておじいちゃんが入っていった「土風炉」は、

俳優座の観劇チケットをもっていくとドリンク一杯無料というサービスが。

もしかして、開演時間までお茶かな?

淡いスーツのおじいちゃん、素敵な土曜日の午後の過ごし方。

 

 

17時、4人目。

リュックを背負い、カジュアルな装いのおじいちゃん。

よそ見したら見失いそうなスピードでずんずん歩いていく。

3番出口を出て、芋洗坂をまっすぐ降りていく。

迷うことなく入っていった先は「うおひろ水産」という居酒屋。

 

 

 

まさか六本木にこんなお店が、という感じのアットホームな食堂感。

ちょうど女将さんが看板を外に出しているところで、恐らく開店と同時に入っていった模様。

常連客なことがうかがえる。

土曜日のこの時間から、ここでお話しながら飲むことを楽しみにしているのだろう。

深夜3時までやっているそうで、夜中の六本木の喧噪に疲れたら、ここでちょっと一息、ができそうなお店だ。

 

 

翌日、12時30分、5人目。

ラフなジャケットを羽織ったおじいちゃん。

 

多くの方が、改札を出たら構内にある地図の前で立ち止まり、目的地を確認しているのだが

このおじいちゃんは迷わず3番出口方面へ。

階段を少しのぼったら、駅直結のビルの中に入っていく。

そのままビルのエスカレーターをのぼり、地上へ。

 

 

 

なるほど!ここから出れば、階段を少しのぼるだけで地上まで出られるのか。

おじいちゃん、人通りの多い表通りは避け、そのまま一本入った裏道をゆっくり進む。

そしてまた、左手のビルへすっと入る。ここが目的地??

 

 

と思いきや、ビル内のエスカレーターをのぼり、抜けた先は六本木ヒルズの2Fテラス。

なんとここまで、階段の上り下り一回のみで来れたことに感動!

おじいちゃんは、そのままヒルズの会員制エリアへ吸い込まれていった。

おじいちゃん、やはり最小限の力で目的地まで行ける方法を知っている。

そして、六本木駅、おじいちゃんおばあちゃんに優しくない。

日比谷線の歴史は古いし仕方ないけど、エスカレーターかエレベーター設置した方が良いと思う。

 

 

1330分、7人目。

のんびりとした足取りで、改札から仲良く出てきたおじいちゃんおばあちゃん。

地図の前で、恐らく目的地を確認したあと、ゆっくり階段をのぼり、

先ほどのおじいちゃんと同じく、駅直結ビルの地上まで出れるエスカレーターへ。

六本木通りをしばらくヒルズ方面まで進んだあと、おじいちゃん突然立ち止まる。

行く?あ、まだ時間ある?とりあえず、一回休憩しようか?

と、いうやりとりがあったかはわからないけど、突如Uターン。

そして再びゆっくりとした足取りで、どこへ行くかと思ったら近くの喫茶ルノアールIN

 

 

安心の駅近ルノアール。私もここで、休憩しようと思った。

店内はおじいちゃんおばあちゃんはじめ、PCで作業する会社員、女性一人でランチの姿も。

すべての世代を受け入れてくれるルノアール。

 

外を見ると、六本木交差点は相変わらずのにぎやかさ。

目的の場所に行く前に寄り道して、コーヒー一杯のゆとり、なんてステキなんだろう。

私の中にも、この老夫婦と同じ時間が流れた瞬間。

 

やっぱり、六本木は華やかな遊びの街、だけではなかった。

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