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湧き水

By小林志翔

2018.05.23, 3:51 PM

六本木、麻布の地下水について

 

 

金魚の養殖が盛んだった江戸から明治期において

ちょうど六本木ヒルズレジデンス周辺には

豊富で良質な湧き水を利用した多くの金魚養殖池があった。

 

 

また、水とお水 聖と賎 池の周りに娼窟も点在していたという。

 

 

この地の水は関東大震災や東京大空襲により焦土となった大地にもこくこくと湧き続け、当時の人々を困苦から救った水だという。

 

 

 

湧き水

 

 

 

 

都市開発の影響により枯れたり汚れていったが、2018年の今も地下水の一端は湧きつづけている。

 

麻布善福寺参道「柳の井」

麻布善福寺参道「柳の井」

 

 

空海さんが鹿島明神に祈って杖をつきたてると湧きだした、ある聖人が柳の枝で掘りだした、そんな伝承があるほど古くから存在する。

井戸は過去の機能をさしていて、実際のところ泉といえるだろう。

 

 

井戸

 

湧き水

湧き水らしく少し生暖かく柔かい

 

 

 

参道からは善福寺の背後に元麻布ヒルズがそびえ見える

参道からは善福寺の背後に元麻布ヒルズがそびえ見える

 

 

 

 

地下水は善福寺にねむる福沢諭吉のミイラ事件にも絡んでいた。

 

 

たった一度立ち寄った場所の眺めをたいそう気に入った福沢諭吉本人の希望により菩提寺の善福寺ではなく、数キロ離れた品川の常光寺に遺体は1901年に土葬された。

1977年に福沢家は墓地を善福寺にまとめる事になり、遺体の眠る墓を掘り起こした。

 

 

すると地下4m程のところを流れる冷たい伏流水(透水度の高い地下水)に木の棺が腐ることもなく浸かっていた。

土葬から76年、恐れながら蓋を開けると亡くなった当時の状態がそのままに保存されていた。両目と指の一部を失っていたものの、着物を着用した瑞々しいミイラが棺の中にしづんでいた。 

遺体の周りには大量の茶葉がまとわりついてあり、茶葉の抗菌作用と伏流水の浄化作用が、腐敗を許さなかった。

掘り起こしに立ち会った四十数名は驚きと畏敬に駆られた。

 

 

近代日本の礎を築いた偉人に、自然から与えられた奇跡だった。

 

 

アスファルトのすぐ下を目には見えない水が流れつづけている

アスファルトのすぐ下を目には見えない水が流れつづけている

 

 

 

その力に与れる場所は、まだ残されている。

 

 

 

 

つづく。

小林志翔

写真家
伊豆大島在住
ゲストハウスhalo運営
http://shokobayashi.net/

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